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山 名
宮之浦岳(1936m) 鹿児島県屋久島町
登山日 2010年10月16日(土) 快晴 宮之浦岳
投石岳西斜面より望む宮之浦岳
参加者 夫婦 Hさん
コース 登り:淀川登山口(5時20分)〜(6:05)淀川小屋(6:15)〜(7:25)小コブ展望地(7:45)〜小花之江河(7:50)〜(8:00)花之江河(8:05)〜黒味岳分れ(8:20)〜(8:50)投石平(8:55)〜休憩5分〜湿地(9:55)〜翁分れ(10:05)〜(10:35)宮之浦岳(11:00)〜栗生岳祠〜翁分れ(11:35)〜(12:35)投石平(13:05)〜花之江河(13:50)〜小花之江河(14:00)〜(14:00)小コブ展望所(14:05)〜高盤岳展望所(14:25)〜(15:15)淀川小屋(15:30)〜(16:10)淀川登山口 所要時間合計10時間50分
お弁当 投石平で食べました(もちろん第一候補は宮之浦岳です)
駐車場 淀川登山口(10台くらい停められます) 一杯の場合は少し手前の路肩に駐車可能です
トイレ 淀川登山口(手洗い水あります)、淀川小屋(屋外トイレ、簡易ブース)、花之江河(簡易ブース) 簡易ブースは携帯用トイレが必要です
まとめ ひと月に35日も雨が降ると言われる屋久島だから雨に逢う覚悟をしていたが、滅多にないような絶好の天気に恵まれ楽しい山歩きができた。空気の透明度も高く、約100km離れている開聞岳が北方洋上遥か彼方に浮かんでいるように見えたのがとても印象的だった。起点とした淀川登山口から往復で10時間以上費やしたが、過度なアップダウンがないので全体を通して比較的楽に歩けたと思う。むしろ事前にトレーニングで歩いた島根県民の森の方がしわかったかな。

屋久島空港近くの宿を4時15分に発ち安房から真っ暗な県道を登っていき、尾立峠で左折(右折は縄文杉登山口方面)して、くねくねした町道淀川線に入ります。屋久杉ランド、紀元杉、川上杉を過ごし、出発して約1時間で淀川登山口に着く。


夜が明けきらぬ時間にもかかわらず登山口には既に4台もの車が先着していた。天を見上げると夜空には無数の星がまたたいていて、まさにまんてんの空です。真上にオリオン座が見えてます。手を伸ばせば届きそう!星座に興味のある人がいたらきっとたまんないだろうな。

暗い中をそそくさと登山支度をして、霧島屋久国立公園の大きな案内板の左手の階段を登って登山道へと入っていく。地形図を読む限りでは淀川小屋までは標高差はあまりないので楽かな?と思っていたが、意外にもアップダウンが多いので最初から難儀をする。真っ暗な夜道だったがヘッドライトの光に「環境省」の標識の文字が反射して如何にも誘導してくれているようで、とても助かった。
まんてんの星が瞬く淀川登山口

淀川小屋 登山口から45分で淀川小屋に着く。小屋の外に炊事用具があるので誰かが泊まっているんだろう。衣類調節とトイレを済ませ出発する。小屋の北側を流れる淀川に架かる鉄橋を渡ると本格的な登りが始まる。

淀川小屋を出発して10分くらいしてようやく陽が登る。右の写真で紅く見えているのは紅葉ではなくて、森に朝日が差し込んできたために、そのように見えているんです。
朝日が差し込む
闇の中に佇む淀川小屋 ようやく陽が登ってきた

トーフ岩 森にはシャクナゲの木が見られる。スギに着生しているものもある。今まで暗い中を歩いてきたので気付かなかったのかもしれない。この山は5〜6月のシャクナゲの咲く時期が登山者が多いそうだ。淀川小屋から小1時間歩くと左手に端正な山容の高盤岳(こうばんだけ)が見えてきた。山頂にはトーフを切ったような形をしたトーフ岩が横たわったいる。花崗岩が風化して切れ込みができたそうです。残念ながら登りでは高盤岳展望所を見落としてしまった。案内標識が樹木に隠れてしまっていたからだ。← 言い訳

木段で整備された道を登りきったところが1660m台ピークで展望所の案内があり、登山道から右手の方に20mほど進むと大岩があり、北側半分が見える。東に目を向けると太忠岳(たちゅうだけ)の山頂に突き刺さっている天柱石が見える。ここで遅めの朝ごはんにありつく。
高盤岳山頂のトーフ岩

黒味岳 太忠岳
展望所から北側の眺め(宮之浦岳は黒味岳の後ろに隠れる) 展望所から東側の眺め(太忠岳の天柱石が…)

小花の江河 展望所のあるピークから横木の階段を下っていくと花の江河湿原に着く。日本で一番南にある泥炭湿原だ。立ち枯れした大きな白骨杉がある。

湿原の中央に敷設してある木道を歩いて渡り少し登ると、中間点の案内標識があった。淀川登山口〜宮之浦岳間全工程8kmの半分までやって来たぞ。
中間点
小花之江河(こはなのえご) 中間点の案内標識

花之江河 小花之江河からおよそ10分で花之江河に着いた。こちらの湿原は先ほど通過した小花之江河に比べると湿地帯のスケールがはるかに大きい。湿地の後方には三岳のひとつである黒味岳が聳えていて、山頂の大岩がでっかく見える。← 本当にでっかい。

花之江河の案内標識のところから湿原の周囲を左回りに進んでいき、次いで沢に敷設された階段状の木道を登っていく。木道が切れるところは流れの中を歩くことになるので、登山靴を水没させないように水量の少ないところを選んで歩いていく。このあたりはヤクシマシャクナゲだらけだ。花之江河から約15分で黒味岳(くろみだけ)分岐があり、そこからは黒味岳の東斜面をトラバースして北側に出る。
花之江河(はなのえご)

ロープ場 右手前方に木の間越しに投石岳(なげしだけ)を垣間見ながら下っていき、二本のロープの垂れたロープ場を下る。丸太の渡してある小さな流れを渡り、足がかりの少ない苔むした岩場を登り返す。一見滑り易そうな苔のようだが意外や意外!滑ることもなく楽に歩ける。

程なく投石湿原に着いた。湿原の背後には黒味岳がひときわ高く聳えている。湿原からはぴちゃぴちゃと水音をたてながら沢道を登っていく。
投石湿原
ロープ場(下から写す) 投石湿原と黒味岳

投石湿原から5分で大きな平たい岩の点在する投石平(投石岩屋)に着いた。正面には投石岳が大きく聳え、、背後には黒味岳の大岩が見える。今にも落っこちてきそうだ。ここで初めて宮之浦岳の姿を目にすることができた。屋久島の外周道路のどこからも見ることのできない山が…感激の対面だ!その左には永田岳と大山の親指ピークをでっかくしたような山が見える。

大岩テラスの上で小休止。投石岳の斜面を登っていくハイカーが見え隠れしている。その中に淀川小屋で宿泊していた外人さんが…いつの間に追い抜かれたんだろうか?
投石平
日本庭園のような投石平

投石平から投石岳の南斜面に取り付いて高度を上げていく。ロープを頼るしかないようなところがあり時間をロスしてしまう。ロープ場付近には、キッコウハグマ、ハナヤマツルリンドウ(普通のツルリンドウと見分けがつかないがハナヤマ…としておきます)が咲いている。

投石岳の西斜面をトラバース気味に進んでいくと安房岳が見えてきた。鞍部から少し下り安房岳の西斜面をまたまたトラバースして登っていく。登山道わきには普通のウメバチソウに混じって花弁の先が尖ったヒメウメバチソウが咲いていた。目を凝らせば氷河時代の生き残りとも言われているイッスンキンカがひっそりと佇んでいるのが見つかった。← 何れも復路で見つけた。登りでは花を見つける余裕はなかった。
安房岳
安房岳を見ながら進んでいく

栗生岳 右手に翁岳の奇岩を見ながら下っていくと湿地があり木道が造られている。下の方には水を湛えた小さな池ができている。水は澄んでいてとても綺麗な池だ。最低鞍部(最後の水場)から少し登ると、宮之浦岳まであと1km標識があり、その10m先が翁岳分れだ。

あまりに近づいたので宮之浦岳は見えなくなり、手前の栗生岳のピークを見ながら最後の登りにかかります。右手には人面像のような形をした自然のモニュメントが立っている。日差しがジリジリと照りつけて暑いが、周囲は逃れるところのない一面のヤクザサです。
湿地の向こうに栗生岳

大きな岩の間を縫うように登っていき栗生岳に着くと、再び宮之浦岳が姿を現した。宮之浦岳山頂に立つ登山者の姿も見える。そして淀川登山口から5時間で一等三角点の鎮座する大展望の宮之浦岳に着いた。ようやく着いたという感じだ。

山頂からの展望は素晴らしい!東には種子島、南には登ってきたルート、西には永田岳と彼方に口永良部島、北にはうっすらと開聞岳が浮かんでいるのが見える。今日は天気はもちろんだが、空気が澄んでいるので遠望が効くのが嬉しいネ。
宮之浦岳山頂
宮之浦岳山頂の花のお嬢さん

東側の眺め 南側の眺め
宮之浦岳から東側の眺め(種子島が横たわっている) 宮之浦岳から南側の眺め(登ってきたルートがわかる)
西側の眺め 北側の眺め
宮之浦岳から西側の眺め(何という奇妙な形の永田岳) 宮之浦岳から北側の眺め(薩摩半島南端の開聞岳が見える)

黒味岳 山頂で何時までものんびりしていたいが、そうもいかないので下山にかかる。鞍部まで下り水場で水を補給する。標高が1800mくらいのところに水場があるのは有難いものだ。湿地帯を登りきったところで花を観察しながら下っていく。遭難碑から20分で投石平に着き、ここで昼食にしました。

投石平から黒味岳が間近に見える。よく見ると山頂の大岩の上に登山者が立っているので、ズームして引き寄せたのが左の写真。黒味岳も屋久島三岳(宮之浦岳、永田岳、黒味岳)のひとつで、山頂からの展望も申し分ないので、沢山の人が登っているんだろう。宮之浦岳山頂で一緒だった沼南ボーイ4人組が 「帰りに黒味岳に登る」 と言っていたが、もう山頂に着いただろうか?
黒味岳山頂の大岩

トーフ岩を正面に見ながら木道を下り花の江河まで戻ると湿原に屋久鹿が居た。屋久島に来てから毎日のように見ていたが今日は初めて見た。小花之江河の先の展望所のあるピークで休憩していると、黒味岳から下りてくるハイカーの姿が見え隠れする。お陰で黒味岳の登山ルートが良く判った。

淀川小屋の手前で黒味岳から下りてきた沼南ボーイたちに追い抜かれたが前後して小屋に到着した。小屋では泊まり組の人たちを含めて、最近増えている山ガール・山マダム談義に花が咲く。登りでは暗くて判らなかったが、淀川小屋から登山口は思いのほかアップダウンがあった。目標の午後4時に対し遅れること約10分でようやく登山口に戻ってきて、歓喜のポーズで本日のロングトレイルを締めくくった。
戻ってきました
陽が暮れないうちに戻ってきました

ツルリンドウ キッコウハグマ ヒメウメバチソウ イッスンキンカ
ハナヤマツルリンドウ キッコウハグマ ヒメウメバチソウ イッスンキンカ