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山 名
女三瓶山(958m) 男三瓶山(1126m) 島根県大田市
登山日 2009年10月18日(日) 曇り 男三瓶山(北の原より)
北の原別荘前バス停より望む男三瓶山
参加者 夫婦 Hさん
コース 登り:青少年交流の家(9時28分)〜名号コース登山口(9:30)〜西の原分岐(9:42)〜女三瓶分岐(9:55)〜(10:35)女三瓶山(10:45)〜兜山(11:10)〜(11:25)ユートピア(11:30)〜(12:00)男三瓶山
下り:男三瓶山(12:53)〜姫逃コース〜中国自然歩道出合(13:55)〜サイクリングロード(14:15)〜姫逃池散策〜(14:30)青少年交流の家
お弁当 男三瓶山の避難小屋付近
駐車場 国立三瓶青少年交流の家駐車場(50台以上は停められます)
トイレ 国立三瓶青少年交流の家(もちろん水洗です)
まとめ 北の原からポピュラーなルートで登ってみた。紅葉には少し早いかなと思っていたが男三瓶山頂周辺は既に紅葉が始まり山肌が赤や黄色に染まっていました。秋の花もたくさん見られたが見頃の時期は過ぎ見納めも近いですね。紅葉と山野草を楽しむことができ良い山行きとなったが、その一方でハイカーの数々のマナー低下を垣間見る山行きともなりました。

浜田自動車道を大朝ICで降りて、国道261号線を走り、川本町から江の川沿いに遡って美郷町を経由して三瓶に向かう。美郷を過ぎると進行方向に三瓶山が見えてきた。今からあの山に登るのかと思うとワクワクしてしまう。川本〜三瓶の間は山あいの道だから狭隘区間がいくつかあるが、道路整備が進んでおり、広島市内の自宅から僅か2時間で三瓶に着いた。


名号コース 東の原から北の原へと走り、途中で男三瓶山の雄姿を眺め(上の写真・このときは晴れている)、三瓶自然館の手前を左折して坂道を上がり国立三瓶青少年交流の家の駐車場に滑り込む。駐車場には山登りの格好をした人が何人もいるので、駐車している車は殆ど山登りに来た人の車なんだろう。

駐車場の「出口」の案内のあるところから車道に出ると、左手50m先に名号(みょうごう)コースの登山口が見える。登山口を入ると直ぐに未舗装のサイクリングロードを横断して、「熊に注意」の立札を左に見て登山道へと分け入ります。ここまで駐車場からほんの3分くらいです。
名号コース登山口付近の景色

原生林 最初のうちは平坦な道が続く。一帯は「大山・隠岐国立公園」に指定されていて、今でも手つかずの自然が残されている。樹木の幹には蔦がぐちゃぐちゃに絡みついていて、何だかジャングルの中にでも迷い込んだような感じだ。

最初のベンチのある西の原分岐は左の道へ、二つ目の分岐も左の道をとる。右の道は名号コースで男三瓶への直登道です。
女三瓶分岐
人の手が入らない原生林 二つ目の分岐(左の道へ)

途中から岡山県玉野市から来たという40人のグループに混じって登っていったが、二つ目の分岐の先にあるトイレのところで道を譲ってもらう。トイレのところには未舗装の管理道が上がってきていた。

そこから先は谷に沿って登っていき、谷を渡り、女三瓶の北尾根に取りつく。右手には木の間越しに少し紅葉した男三瓶山が見えている。高度を上げていくとカラマツが目立ってきた。今まで多くのハイカーを受け入れてきた登山道は塹壕のように深く抉られているところがある。塹壕道を登っていくと電波塔が林立する女三瓶山の、一番北側の電波塔のところに飛び出した。案内標識には「女三瓶山3分」とある。
塹壕道
深くえぐれた塹壕道

女三瓶山からの眺め 一直線に立ち並ぶ電波塔に沿って登っていくと女三瓶山頂に着く。南側は晴れているのだが、生憎上空は分厚い雲に覆われていて肌寒い。しかも北西から絶え間なく強い風が吹き付けてくるので、電波塔の建物の陰に避難して風を避ける。

山頂には夏の花であるキンミズヒキフシグロセンノウが未だ頑張って咲いてくれていたが、やはり今の時期の主役は秋の花でリュウノウギクヤマラッキョウが至る所に咲いている。
女三瓶山からの眺め(孫三瓶〜子三瓶〜男三瓶が目の前に連なる)

女三瓶山 女三瓶で小休止の後、男三瓶に向かう。兜山の登りが始まるまでは、比較的平坦な歩き易い道であり、道ばたには、アキノキリンソウイヨフウロカワラナデシコキクバヤマボクチクルマバナコウゾリナツリガネニンジンフシグロマツムシソウママコナイナカギクヤマハッカヤマラッキョウヨツバヒヨドリリュウノウギクなどの秋の花が咲く。特にリュウノウギクが切れることなく咲いていたのが印象的だ。このあたりは通常の倍くらいの時間を要している。

5枚の葉が輪生している花後の山野草があったので、最初は何だろうか?と思っていたが、ツリガネニンジンだった。後ほど図鑑で調べてみると「ツリガネニンジンの葉は3〜4枚輪生する」とのことだが、ここ三瓶山では5枚のツリガネニンジンがいくつかありました。
電波塔の林立する女三瓶山を振り返る

紅葉 今までルンルン気分で草原を歩いてきたが、兜山から先は登山道が裸地化しているところがあり、ユートピアの案内標識の立っていたところは根元の土が流されて、標識が倒れている。

樹木は赤や黄色に染まり、紅葉は見頃を迎えつつあります。岩場が砂礫地が多くなり、ホソバノヤマハハコが我が物顔で咲いていました。生育環境が厳しいので他に花が見られないのだ。
火山灰層
うっすら紅葉した男三瓶山 火山灰層が露わな男三瓶南斜面

ススキのなびく草原にポツンと建つ山頂小屋の前を通り、階段道を上がると男三瓶山山頂です。周囲には遮るものは何もなく展望はすこぶる良い。しかし強風が吹き付けて寒い!だから山頂の展望台には誰もいない。皆さん風の当たらない低いところで昼食休憩中のようです。我々も山頂小屋の前に移動してランチにする。

山頂小屋は老朽化のため使用が制限されていて、小屋の前には 「使用は非常時のみとして下さい」 の注意書きがあるにもかかわらず、小屋は大勢の厚顔無恥なハイカーによって占拠されている。この人たちにとっては今の状況が非常時なんだろうか?寒いんなら早く山を降りたらよかろうに。
男三瓶山
ススキの原の男三瓶山山頂

男三瓶山の山頂から、北には出雲ドームと自然が造り出した日本海の海岸線の曲線(薗の松原の海岸)が美しい。眼下には青少年交流の家の建物がはっきりと見える。東には大万木山方面、南から西にかけては幾重にも連なる山並みが…大江高山火山群は特徴のある山容なので容易に同定できる。

下りは山頂展望台の手前から姫逃(ひめのが)コースを下る。5分ほど下ると植生がブナ林に変わり、黄葉したブナを楽しむ。ちょうど良い塩梅だ。

【ブナ林の案内板】 男三瓶山北斜面の上部には、ブナ林が残っており、島根県では数少ない大変貴重な地域となっています。両側に見られる大木がブナです。独特の木肌をしていますので、特徴を良く覚えておきましょう。ブナの大木の下には、クロモジ、ホツツジ、ミヤマガマズミ、オオカメノキ、コアジサイ、アズキナシなどの低木が見られます。
ブナ林

ステップ 姫逃コースにはヤマアジサイやコアジサイが多いので、初夏に訪れるとアジサイの花が見られます。もちろん今の時期はドライフラワー状態ですが。花はキバナアキギリサラシナショウマモミジガサくらいしか見当たりませんでした。

男三瓶の北斜面は急なので、山頂から標高700mの中国自然歩道まで、登山道はジグザグに付けられていて、横木の階段も設置してあり比較的楽に歩けます。さすが国立公園だな。それでも急なところがあり、左の写真のように、ステップが工夫して取り付けられていました。
ハの字形に付けられたステップ

登山道がジグザグが故に、曲がり角の手前でショートカットしてしまう情けないハイカーがいるのも困ったものだ。至る所にショートカット道が出来ているではないか!その対応策として「通ってはいけません」という意味のロープが何ヵ所も張られている。ひとりひとりが 「山に登らせてもらっている」 という気持ちを持てば、こんなことにはならないと思います。

いたずらにショートカット道ができてしまうと山が荒れてしまいます。新しい道を作りたい人や、道のないところを自由気儘に歩きたい人は、西中国山地のヤブ山にでも登って、ササ床の広葉樹林の中で思いっきり遊んだらいいだろう。おそらく誰にも咎められないだろうから。
ロープ
ショートカット防止のためのロープ

十字路 標高700mの標識が立つ十字路まで下ると道が緩やかになる。直進が姫逃池登山口で、左右には中国自然歩道が走る。ここは左折して中国自然歩道に入る。3分で東屋のある広場を右手に過ごし、カラマツ林の中を下る。カラマツの葉っぱが落葉して登山道はフッカフカで足に優しい。

十字路から25分でサイクリングロードに出て、道路を横断して姫逃池の湖畔に出る。
サイクリングロードに出る
十字路では左折する サイクリングロードを横断する

姫逃池 山頂では強風が吹いていたが麓では静かなものだ。治まってきたのかな。そしていつの間にか青空が戻ってきて、気持ち良く湖畔の遊歩道を歩く。遊歩道わきでは子持ちマムシがのんびり昼寝をしているぞ。姫逃池駐車場の裏から再びサイクリングロード(ヘルシートレーニングコース)に出て、左折して青少年交流の家まで戻ります。

今回辿った道は偶然にも、初級中年登山隊の皆さんが昨年秋に歩いたルートと同じでした。所要時間も同じくらいだが唯一の相違点は昼食休憩時間の差かな。三瓶自然館サヒメルに立ち寄って、外周道路を反時計回りに走り西の原を経由して帰広する。
姫逃池の湖畔を散策する

リュウノウギク ママコナ イヨフウロ フシグロ
一番目立ったリュウノウギク ポピュラーなママコナ まだ頑張っているイヨフウロ 何とも可愛いフシグロ
カワラナデシコ アキノキリンソウ ヤマハハコ マツムシソウ
息の長いカワラナデシコ これも息の長いアキノキリンソウ 岩場に多いホソバノヤマハハコ 見納めかな?マツムシソウ