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山 名
鈴ノ大谷山(1036m)
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島根県吉賀町柿木
登山日 2007年9月30日(日) 雲り後時々晴れ 鈴ノ大谷山(入江谷林道より。下山時に写す)
入江谷林道より(下山時に写す)
参加者 単独
コース 登り:入江山橋(10時5分)〜(11:05)登山口(11:10)〜支尾根(11:30)〜(11:50)鈴ノ大谷山
下り:鈴ノ大谷山(12:30)〜(12:50)林道(13:00)〜登山口(13:20)〜(14:30)入江山橋
ガイド ゆうゆう第15号(岡ガイド)、第24号(新コース紹介)
お弁当 鈴ノ大谷山山頂で食べました(他に適した場所はありません)
駐車場 入江山橋付近の路肩(路肩の膨らんだところに5台くらい停められます)
トイレ 登山口付近にはありません(柿木村方面からだと「道の駅・かきのきむら」があります)
まとめ 季刊ゆうゆう24号の「新コース紹介」欄に鈴の大谷山のインクラインルートが紹介されている。情報不足のうえ、ややこしそうなルートなのでいきなりの挑戦はチト無謀!まずは「入江谷林道ルートで延伸工事中の林道の状況と登山道の概要を把握」という手順を踏むことにしよう。

 中国自動車道を六日市ICで下りて国道187号線を柿木村方面に向かう。六日市町抜月のポケットパークに立ち寄って西側の山の方を望むものの、盛太ヶ岳の山頂はガスに覆われており、鈴ノ大谷の稜線は全く見えない。こりゃあ今回は展望は諦めるか・・・道の駅「かきのきむら」の手前で県道3号線に乗り、山口県の鹿野方面に向けてひた走る。


椛谷渓谷と椛谷ダム 阿東町仏峠方面分岐を右に過ごし上っていくと正面に椛谷ダムが見えてくる。駐車スペースに車を停めて暫し渓谷美を楽しみます。う〜ん、ワンダフるぅ!

景勝『椛谷渓谷』 福川川上流の黒渕から椛谷までの長い谷間を『椛谷(かばたに)渓谷』と呼んでいる。特に、この付近は深い谷に椛谷ダムが溶け込んで、一年を通じて美しい景観が満喫できる絶好のスポットとなっています。椛谷ダムは1953年から3年の歳月を費やして建設された、高さ42メートル長さ80メートルのアーチ式砂防ダムです。椛谷渓谷は関門層群、硯石統(約1億年前の中世代に火山灰が堆積してできたもので、北九州から島根県南西端におよぶ)の地層から成っています。そそり立つ山肌と深い谷底、彩りを添える原生林、そして椛谷ダム。その景観は秋の紅葉シーズンにピークを迎えます。(吉賀町教育委員会)
椛谷渓谷と椛谷ダム

入江山橋 景勝地から、さらに1kmほど鹿野方面に向けて上っていくと左手に入江山橋がある。橋を過ぎたところの路肩の膨らんだところに駐車スペースを見つけて駐車する。空はどんより鉛色だが、少し明るくなってきて雨の心配はなさそうだ。しかし高いところには相変わらずガスがかかっている。

入江山橋を渡り、未舗装の入江谷林道へと入っていきます。林道の路面は比較的しっかりしているので奥の登山口までは車の進入は可能です。ただ奥まで車で入ると歩く距離や時間が短くなるので物足りなくなるだろう。林道の中間点あたりで前方の谷間に鈴ノ大谷山の稜線が見えてきた。遠い!さらに登っていくと明るい谷道に変わり左手前方(磁北方位10度)にガスを被った鈴の大谷山が近くに見える。もうじきだ!
入江山橋を渡り入江谷林道へ

登山口 登山口は林道が大きく左カーブする地点の谷間にあり、三角に組んだヤグラの上に「鈴ノ大谷山登山口」と「歩道入口→」の2枚の案内標識があるので見落とすようなことはないだろう。

登山口を入るとスグに杉の植林地となる。沢の右岸に沿って100mほど進み左岸に渡り植林地の中を登っていき小さな沢を右岸に渡りトラバースして支尾根に乗る。踏み跡は比較的しっかりしており、迷うようなところはありません。
スギの植林地
案内標識の立つ登山口 スギの植林地の中を進む

尾根に出ると名物のササが出てきた。斜面は次第に傾斜を増し、それに雨後で滑りやすいので、2本足だけで登るのは困難!ササを掴んでヨイショと体を持ち上げながら高度を稼いでいく。ササの下の踏み跡には先人の苦闘を窺わせるようなスリップ痕がいくつも残っている。景色が明るい灌木帯に変わったので振り返って見ると盛太ヶ岳が意外と近くに見えている。

緩斜面に変わると前方320度の方向に山頂部が見えてきた。もう少しだ!心持ち下って再び急登のササ漕ぎが始まる。濡れたササに備えて登山口からは下側だけカッパを着用したが、少し考えが甘かったようだ。ササの背丈が予想以上にあり結構しずくを被ってしまいました。
ササ漕ぎ
鈴ノ大谷名物のササ漕ぎ

盛太ヶ岳(尾根道より) 南方面の眺め(鈴ノ大谷山頂より)
振り返れば盛太ヶ岳が近くに見える(ヤブの南東尾根より) 登山口近くの894mピークすら満足に見えない(鈴ノ大谷山頂より)

山頂のササの海 やっと緩やかになったと思ったらササの海の鈴の大谷山頂に着きました。二等三角点がササの海の西の端に鎮座しており三角点の周囲だけが刈り込まれれ、傍らのブナの幼木に年代物の「鈴の大谷」の手製のプレートが架けられている。展望はと言えば南〜西にかけて切り開かれているものの生憎のガスで何も見えやしない。30mほど東に移動すれば丸い盛太ヶ岳の山頂部が見え、左手後方に七日市の町が望めるが、高いところはガスに覆われており展望なし!

ゆっくりとお昼を食べながらガスの晴れるのを待ったが状況は一向に改善しないので諦めて西尾根から下山する。なお磁北方位40度の方向に「松原林道終点より」のプレートを見かけたが、その先は進入するのを躊躇いそうな大ヤブでした。
鈴ノ大谷山山頂に広がるササの海

西尾根を下っていくと間もなく植生はヒノキ林に変わる。こちら側のササは大したことはなく気にせずに歩けます。鞍部から少し登り返し次の小コブを下っていくと右手下方に延伸工事中の林道が見えてきた。随分奥の方まで延びてきている。一体どこまで?尾根道から左に振れて急ごしらえの急斜面を下っていき梯子を使って林道に降りました。

林道からは遠くに電波塔の林立する石ヶ岳、正面に莇ヶ岳、少し下ったところから平家ヶ岳〜長野山が見えている。残念ながら弟見山の山頂部は雲がかかっている。しかし下山を開始してから20分しか経っていないのに天候が急速に回復してきているようだ。もう少し山頂で粘ればよかったか!
下山口
下山口と木製の梯子

平家ヶ岳 莇ヶ岳
林道から南の方向に平家ヶ岳〜長野山の稜線が望める 南西に莇ヶ岳が見えるが、弟見山は雲の中

等高線に沿って造られている林道を下り登山口まで戻ってきた。正面に莇ヶ岳が見えている。少し下ったところで振り返ると冒頭の写真のように鈴ノ大谷山の稜線もくっきりと見えている。アレアレ青空が覗いてきたヨ!ここからは道ばたに咲く初秋の花を観察しながら入江山橋までのんびりと下っていきました。

見かけた花たち・・・アキチョウジアキノウナギツカミアケボノソウアメリカセンダングサイヌコウジュオトギリソウガンクビソウゴマナシュウブンソウセンダングサツリフネソウノコンギクヒメジソヒヨドリバナミズヒキミヤマタニソバメナモミヤクシソウイナカギクヤマハッカなどでした。

六日市まで戻り真田・抜月から見る鈴の大谷山は明るい初秋の日差しの下、逆光に輝いている。次回はインクラインコースから上り周回してみよう。この山は林道歩きが長いのが玉に瑕だが、適度なササ漕ぎが楽しめ、登山口から山頂までは明瞭な踏み跡があり、ヤブ漕ぎ入門の山行きとして登ってみては如何でしょうか。周回できるのも魅力です。ただし指導標は登山口にあったきりで、テープ類も少ないので、地図とコンパスは必携の山だと言えます。